
どーも、こんにちは。
トシです。
僕はエアライフルで狩猟を始めて2年目になるのですが、
今年からはイノシシも獲る予定で『罠免許』も取得しました。
ところが、道の駅の出店をきっかけに羽咋市の猟師さんと繋がりができ、
なんと、猟期を前にして『イノシシの捕獲→解体→精肉の手伝い』をさせてもらえることに。
報告が遅れて、すでに1ヶ月前の話ですが、
今回、軽くそこらへんを紹介しておこうかと思います。
罠猟に興味のある方で、
『イノシシの捕獲、解体、精肉ってどんな感じなんだろう?』と思ってる方は、読んでみてください。
また、人手が足りないので、近くにお住まいで『興味がある!』『やってみたい!』という方は、ぜひお手伝いをお願いします。
『お問い合わせ』から連絡いただければ、詳しいお話をさせていただきますね。
まず、お手伝いをさせてもらってる場所について
僕がお手伝い(というか「特訓」)をさせてもらっているのは、羽咋市の『食肉処理施設』です。
元は医薬品関係の企業の研究所?で、県の所有施設?だったとか。
正直、詳しくは知りませんが、
僕の弟(金沢の大学で薬学部のドクター?やってます)も、『何度か使ったことあるよ』とのこと。
それが、今は内部を改装して肉処理施設に変わっています。
中には高性能な「業務用冷凍庫」が複数並び、獲物の搬入口近くにはイノシシを釣り上げる巨大なクレーンが。
また、解体場所と精肉場所は巨大なカーテンで仕切られ、さらには確実に殺菌するための「電解水」機器も完備。
内部は15〜20℃前後に保たれているため1日いるとかなり寒いです。
しかし、こういう設備があり、『捕獲→腹抜き→冷蔵庫』までの時間を1時間と決めているおかげで、精肉されたイノシシの肉は “ほぼ” 無菌なんだそう。
イノシシが保有する菌のサンプルを取るために、定期的に研究所の方々が来るそうですが、『菌が少なすぎてサンプルにならない』だとか(笑)
『熟成肉を作ろうにも、菌が少なすぎて熟成できない』んだそうです。
「イノシシ=臭い、固い、不衛生」だと思ってる人も多そうですが、
ぶっちゃけ、ここで処理されたイノシシは市販されてる豚や牛や鶏よりも菌は少なく、衛生的なんですよ。
(それ以前に、羽咋市周辺のイノシシはダニや菌が少ないです)
イノシシの捕獲→精肉までの流れ
さて、施設の話はこれくらいにしておいて、本題へ。
僕が手伝いをさせてもらってる『イノシシの捕獲→解体→精肉』までの流れを、“初心者の主観” で紹介します。
客観的な流れが知りたい方は、市が作ったページがありますので、そちらをご覧ください。
1. イノシシの止め刺し
まず、僕らは自分たちで罠を仕掛けてイノシシを獲っているわけではありません。
市の猟友会の有害駆除の方々(正しくは複数の罠猟のグループ)がたくさんいますので、彼らが箱罠を仕掛け、獲物がかかった場合に処理施設に「止め刺し&解体」の依頼が来るという流れになります。
依頼が来ると、処理施設の冷蔵庫に入るかどうかを確認し、入れられるようであれば止め刺しに向かいます。
止め刺しの方法は、基本的に『電気ヤリ』。
隣の富山県では電殺(電気で殺すこと)は禁止らしいのですが、羽咋では電殺が一般的です。
塩ビパイプを加工して作成した猟具で、「ヤリ」とはいうものの、錐(キリ)のゴツくなったようなものです。
構成は「携帯バッテリー」「コンデンサ?」「ヤリ」「アース」からなり、アースを箱罠にくくりつけ、電気が地面に流れるようにしてから使います。
狙う場所は『耳の後ろ』あたり。
ここらへんを狙えば上半身のどこかに刺さるため、脳と心臓の間に電気が流れて、死に至ります。
僕も、機会があればやらせてもらっていますが、
驚いたのは「電気に抵抗のあるイノシシがいる」ということ。
個体の大きさに関係なく、10秒ほどで即死するイノシシもいる一方、5分以上死なないイノシシもいます。
地面の濡れ具合などにも関係があるのでしょうが、それを除いても「電気に強い個体」というのはいます。
5分も電気を流していると焦げて煙が上がってきますが、野生動物は蘇生することも “まま” あるため、完全に動かなくなるのを確認できるまでは電気を流します。
そういう意味でも、電気やりでは『耳の後ろ』あたりを狙うのが良いですね。
他の部位だと焦げたら売り物になりませんが、頭は肉にならないので多少焦げようが問題ありませんから。
電気ヤリを使う予定の人は注意!!
また、僕も使ってみるまで知らなかったのですが、
この電気ヤリ、じつはめちゃめちゃ危ないです。
少し考えてもらえれば分かりますが、
『80kg以上のイノシシですら数分で止め刺しできてしまうくらい強力』ですからね。
所持や使用に許可がいらないため油断しがちですが、
電気を流してる間に罠やイノシシに触れてしまうと、僕らも感電して死んでしまう可能性があります。
じつはかなり危険な猟具ですので、取り扱いには注意しましょう。
2. 血抜き
完全に絶命したのを確認できたら罠を開け、すぐに頚動脈を切って血抜きします。
切る場所は、主に耳の後ろの少し下。
頚動脈は食道の下側を通ってるようなので、そこらへんにナイフを入れてギコギコやります。
イノシシの毛皮は意外と硬く、初めてだとなかなか刃が入りませんでした。
うまく切れたら、ドロッとした血が出てきますので、流れ出るままに任せます。
ただ、イノシシの血は濃く、あっという間に凝血します。
(5-10分ほどでプルプルのゼリー状に)
それで心臓が完全に停止してない場合、傷口がふさがり蘇生することもありますので、罠を開けるときは確実に絶命しているのが確認できてからにします。
ちなみに、『絶命』の確認は何度かヤリを刺してみて確認します。
完全に死んでる場合はあまり動きませんが、まだかすかに生きてるときは大きく反応します。
あとは、”ハエ” が分かりやすいですね。
生き物は、絶命するとすぐに死臭が出るらしく、死んだ瞬間にハエが群がってきます。マジで。
3. 計量&写真撮影
血抜きが終わったら、イノシシの重さを計って、写真を撮影して、処理場に運びます。
計量と写真撮影は、有害駆除の証拠のため。
イノシシ1頭あたり、市と県(と国?)から幾らかの補助金が出るのです。
ただ、それらを悪用して補助金を不正にもらってる人もいるのだとか。
「火の無い所に煙は立たない」とも言いますし、そういう人がいるのも事実なのでしょう。
実際、やろうと思えばどれだけでも不正ができそうですしね。
4.運搬→綺麗に洗う
イノシシを捕獲したら時間との勝負。
保健所の基準では「捕獲→冷蔵庫まで2時間」ですが、羽咋市では「捕獲→冷蔵庫まで1時間」としています。
そのため、大急ぎで施設に帰るのですが、、、
この帰りの車が怖いのです。(運転的に)
まあ、今回の話に関係ないので詳しくは書きませんが、
毎回、軽トラの限界の高さを思い知らされます(笑)
よく吹っ飛ばないな、と。
イノシシ捕獲にあたって保険が必要だと思ってますが、車の同乗保険も必要かもしれません。
と、話を戻して、
施設に運んだイノシシはすぐに流水で洗います。
特に気をつける箇所は、
・直接切っていく「腹」
・作業中、物理的に上にくる「手足」
です。
背中とかは肉に直接触れないのであまり気にしませんが、上の2箇所は肉に汚れが付着する可能性のある場所ですので、徹底的に綺麗にしてから処理に入ります。
5. 腹(内臓)抜き
外を綺麗に洗えたら、クレーンに吊るして内臓を抜きます。
この工程、僕もまだ2回しかやってませんが、
思ってる以上に簡単だけど、コツがいります。
難しいのは、
・硬い胸骨をナイフで割る
・肛門周りを切り抜く
・腹腔内の肉と胃と腸を傷つけないようにする
の3つでしょうか。
それ以外は、
・大量の血が出てきても大丈夫
・グロい内臓を見ても大丈夫
・内臓の暖かさ、臭いに耐性がある
・暖かいイノシシの体内に手を突っ込める
という人であれば、結構簡単にできるかと。
(まだ全部出来てない僕が言うのもアレですが・・)
まあ、多分耐性のない人でも、
『イノシシを自分で獲って食べれるようになりたい』と思ってる人なら、なんとかなるでしょう。
僕もそんなに耐性があるわけではありませんが、
記事のタイトルにあるように「精神と時の部屋(出展:ドラゴンボール)」にいるような感覚でやってますから。
去年、初めて獲物(コガモ)を獲ったときの腸抜きもそうでしたが、
作業してる間は「無」になってます。
やるしかないので、やる。
そんな感じですね。
慣れれば、その感覚も変わるのでしょうが、
7回ほど行った今のところは、やはり毎回「精神と時の部屋」にいるような感じです。
入ってる間は「無」で、
出てきたときに大幅にレベルアップしてる感じ。
個人的には「猟師を目指す方であれば、どんな人でも出来るんじゃないかなー」と思いますので、『難しそう』『怖そう』と避けず、少しでも興味があるのであれば、猟友会に連絡をとってみると良いですよ。
羽咋市周辺の方であれば、いつでも処理施設の見学ができますので、僕まで連絡してみてください。
さて・・本当はこの続きを書きたかったのですが、
長くなりすぎるので一旦切ります。
この後の作業としては、腹抜きが終わったら電解水で内側と外側を洗って→冷蔵庫に吊るす、という流れ。
皮にマダニなどが付いてますが、特に害もないため、そのまま冷蔵庫へ入れてしまいます。
そして、冷蔵庫に吊るしたイノシシは、順番に『皮むき→解体→冷蔵庫で乾燥→精肉』という感じでパック詰めされた肉にされていきます。
いくつか面白い話もありますので、また次の機会に書いていきますね。