解体技術

【詳細画像/我流】鴨の手軽なさばき方(毛むしり→精肉まで)

【詳細画像/我流】鴨の手軽なさばき方(毛むしり→精肉まで)

どーも、こんにちは。

空気銃猟を始めて2期目が終わったばかりのトシです。

 

猟期前半が “嵐”、猟期の後半は “35年ぶりの大雪” と、なかなか出猟する機会がありませんでした。

その代わりに、色々と獲物について学べたこともありますし、罠で遊ぶこともできたので良いのですが。

 

さて、今期は出猟する機会は少なかったものの、誰かが獲った獲物をよく頂きました。

特に “鴨” をたくさん頂き、そのほとんどを捌いたことで、自分なりの『鴨のさばき方』というものを身につけた感じです。

 

今回はそのやり方、『手軽な鴨のさばき方』について詳細画像と共に紹介します。

 

※閲覧注意:解体の画像がモザイクなしで表示されます。

 

 

用意するもの

 

まずは、鴨を捌くにあたって以下を用意します。

・良く切れる包丁

・解体用のハサミ(100均金)

・手袋(手が汚れるので)

・大きなゴミ袋(羽や内臓などを入れる)

・ガスコンロなど火が出るもの(カセットコンロでも可)

・スポンジかタワシ(新品)

・ラップやバット(解体した鴨肉を冷凍庫へ入れる用)

 

 

 

1.腸を抜く

 

今回解体するのは、誰が獲ったか分からない『ヒドリガモ』

以前、美味しかったやつですね。

 

2/14〜15の猟期終わりには駆け込みでの捕獲が相次ぐのですが、ベテラン猟師の方々はこの時期には食べ飽きてて要らないらしく、僕のような『なんでも食べます』という人のところに獲物が回ってきます。

 

今回の獲物もそういう流れで回ってきたのですが・・・じつは解体するときになって、1人で「修羅場」を経験してました。

 

 

というのも、このヒドリガモ、

コガモのような「緑の過眼線(かがんせん)」があったんですよね。

 

 

じつはヒドリガモの仲間で緑の過眼線を持つ “アメリカヒドリ” という鴨がいるのですが、『もしかしてそれか!?』と。

 

結局、『珍しいけどその他の特徴から混血の “ヒドリガモ” で間違いない』というアドバイスをもらったので、安心して解体しましたが、正直心臓に悪いです。

 

 

さて、解体の流れに入ります。

 

鴨解体で最初にやるのは『血抜き』と『腸抜き』。

 

これらは、本来は猟場で獲れたらすぐにやるのですが、今回もらったのは「腸抜き」がされてませんでした。

ですので、まずは腸を抜いていきます。

 

 

狩猟の漫画や雑誌でも見たことがある方が多いと思いますが、手順としては

(1)肛門まわりの毛をむしる

(2)肛門まわりを切り取る

(3)腸を抜き出して切る

という流れになります。

 

順番に見てみましょう。

 

まず、肛門を露出させるために、(1)肛門周りの毛をむしります。

 

次に、(2)肛門の周りの皮を切り開き、腸を露出させます。

ここは包丁よりもハサミの方が切りやすいです。以下の1〜3の順で切ってみましょう。

 

すると以下のように腸が見えます。

 

この腸を、切らないように慎重に引きずり出します。

 

全部引き出したら、肛門下の胴体と繋がっている皮を4の位置で切り、肛門を胴体から分離させてしまいます。

腸を切らないように注意。

 

腸には「太い大腸」と「細い小腸」があり、小腸は『砂肝』にくっついています。

腸を引っ張っても出てこなくなったら砂肝の近くで切り取ってしまいましょう。

 

腸を抜き終わった鴨は、こんな感じ。

 

一般的には、猟場でここまで済ませ、この後3〜7日ほど寒い屋外に吊るして肉を落ち着かせます。

その方が、血が抜けて美味しくなるようです。

 

今回は暖かい日が続いたため、解体してしまうことにしました。

 

 

 

2.羽と毛をむしる

 

さて、本格的な解体に入ります。

 

まずは、解体の邪魔となる “羽” や “毛” をむしりましょう。

 

お腹はもちろん、背中や、翼もむしっていきます。

 

ただ、正直なところ “翼” の部分(手羽元や手羽先)は可食部が少ない上に皮も硬く、毛も抜きにくいため、個人的には要らない部位です。

全部むしれば見栄えが良いのですが、気楽に&美味しく食べるだけなら翼部分は捨てた方が楽です。

 

 

というわけで、僕は “翼” の羽や毛はむしりません。

しかし、以下の羽は解体の邪魔となりますので、抜いておきましょう。

 

大まかに羽と毛を抜いて、以下のような感じになればOKです。

 

また、尾羽の部分は「ぼんじり」に当たるのですが、鴨は臭いので切り捨てます。

(誰か美味しい食べ方知ってたら教えてください)

 

さて、次は翼を外していきます。

ハサミを使って、翼を断ち切ってしまいましょう。

 

翼が取れたら、以下の赤矢印に沿って「手羽の周りの皮」を切っていきます。

 

こんな感じで、肉は傷つけずに皮だけ剥がれるようになればOK。

 

そうしたら、皮を手で引っ張り、剥がしてしまいましょう。

 

手羽周りの硬い皮はなくなり、少しの手羽元の肉だけが残りました。

 

あとは足をハサミで切り落とし、以下のようになれば、次の工程へ。

毛はこのくらい残っていても問題ありません。

 

 

3.うぶ毛を火で炙る

 

羽と毛を抜き、翼と足も外したら、表面に残った “うぶ毛” を焼いていきます。

ここでは火を使うので、台所などの『火を使っても大丈夫な場所』で作業しましょう。

 

僕はカセットコンロを使います。

 

毛抜きが終わって、まだこんなに沢山の “うぶ毛” が残っている鴨を、、

 

カセットコンロの中〜強火で炙っていきます。

 

意外と時間がかかるのですが、肉を焦がさないように注意しながら、うぶ毛が燃えて無くなるまで炙ります。

「脇」や「足」「首元」などに毛が残りやすいので、しっかりと焼きましょう。

 

 

火で炙ると、うぶ毛は以下のような感じになります。

 

これを、スポンジやタワシでこすってやりましょう。

 

すると、うぶ毛がなくなりツルツルになってきます。

 

今回は4羽いたので、毛抜きも火あぶりも時間がかかりました。

 

鴨のうぶ毛がなくなったら、いよいよ精肉に入ります。

 

 

 

4.胸肉をとる

 

解体の手順は人によって違うのかもしれませんが、僕の場合、『胸肉→もも肉・手羽』の順で精肉してます。

 

まず最初に、胸肉ですね。

 

 

毛焼きが終わったあとの鴨に、

 

まずは赤矢印のように、胸の中央を走る『胸骨』に沿って切り込みを入れます。

 

開いたら、皮の直下にある “胸肉” と、その下にある “ササミ” が見えてきます。

 

次に、『鎖骨』を切り出していきます。

指でさしているあたりに胸骨の頭がありますので、赤矢印のように切ってみてください。

 

すると、鎖骨の頭が見えてきます。

 

この鎖骨に付いている肉を削いでいきます。

こんな感じで。

 

鎖骨から肉を剥がすと、胸肉がより大きく開きます。

 

そうしたら、『鎖骨』と『胸骨』のつなぎ目(赤矢印)を切り、それぞれを分離させます。

 

それから、手羽方向に骨にそって胸肉を剥がしていきましょう。

 

以下の赤丸(肩の関節)が見えたらストップ。

次はもも方向に胸肉を剥がします。

 

こちらも、ひざ関節(指でさしている部分)が見えてきたら、それを迂回しつつ、骨の上の肉を剥がしていきます。

 

ある程度剥がしたところで、肉がなくなり皮に至ったら、以下の青線で切り取る。

 

これで、鴨の胸肉が取れました。

もう片方も取って、胸は終わり。

 

次は、もも肉を外します。

 

 

 

5.もも肉をとる

 

ここからの手順は簡単です。

 

まず、以下の赤矢印に沿ってもも肉を切り離していきます。

 

すると股関節が見えてくるので、グイッと広げるようにして関節を外しましょう。

 

関節が外れたら、あとはその隙間を同じように切り離していき、皮に至ったら青線で切る。

肉と脂の多い鴨なら背中まで肉があることがありますが、基本的に『皮に至ったら切る』で大丈夫です。

 

両足とって足は終わり。

 

このまま焼いて食べても良いのですが、さらに骨抜きしたいという方は以下の赤矢印に沿って骨を抜き出せばOK。

筋肉に沿って丁寧に骨抜きできないこともないのですが、いかんせん細かすぎるので・・

対して食感も変わりませんし、この方が手軽でしょう。

 

 

 

6.手羽肉をとる

 

次は手羽。

 

これも簡単で、肩甲骨から手羽あたりの肉を外すだけです。

 

 

まずは、肩甲骨の上に乗っている肉を剥がしていきます。

 

すると肩の関節が見えてくるので、関節周りの筋を切る。

あとは、背中側に向けて肉を削いでいき、肉がなくなったところで切り離します。

 

手羽の骨抜きは、ももと同じなので省略。

可食部はもっと少ないので、大型の鴨でないと気力が湧きません。

 

 

そして、今回の解体で1羽から取れた肉は以下の通りでした。

 

肉だけを取るなら、鴨の解体は以上で終わりですね。

 

モツも食べる方は、引き続き解体しましょう。

 

 

 

6.砂肝、ハツ(心臓)、レバー(肝臓)をとる

 

モツを取るには、胸骨を割って取り出すのが一番早いです。

 

以下の赤矢印に沿って、ハサミで切り開きましょう。

真ん中の胸骨の両側を切って開く、という方もいますね。

 

切り開くと、以下のように内臓が見えてきます。

今回は「一般的に食べられる部位」に名称と矢印をつけてみました。

 

そして、それらを取り出したのが以下。

 

それぞれの処理としては、

心臓:縦に2つに割って、血を水で洗い流し、冷凍

砂肝:縦に2つに割って中の消化物を洗い、内側の硬い膜を剥がし、外側のヌメリを洗い流してから冷凍

肝臓:胆嚢(以下)を緑線に沿って切り落とし、水にしばらくつけて血抜きし、冷凍

 

という感じです。

 

特にレバーは血が多く含まれるので、しっかりと血抜きをすることが大切です。

水を数回変えて、茶色くなるまで血抜きすると食べやすいですよ。

 

 

 

4羽捌いた結果

 

以上、我流による鴨の解体方法(さばき方)の紹介でした。

 

未経験だとどう捌いて良いか分からないでしょうし、初めての方は参考にしてみてください。

他の方よりは綺麗さでは劣りますが、数が多い場合などに有効な捌き方だと思います。

 

 

ちなみに4羽捌くと、このくらいの肉の量になります。

 

レバーは、1つは胆嚢を切ってしまったため、もう1つは腸液がかかって緑色だったため処分しました。

また、胸肉がボロボロなのは、散弾を取り出そうとしたためです。

 

 

そして、これらの鴨肉は、レバーやイノシシの脂身や香味野菜と合わさって『ヒドリガモのテリーヌ・パテ』となりました。

 

腸が入ったままで直射日光を半日浴び、10度以上の暖かい気温に晒されたせいでしょうか。

レバーを入れた上に、塩胡椒が薄くて少しクセがありました。

 

が、追加で塩胡椒を振り、さらにホウレン草とバターのソースをかけることで、かなり美味しく食べることができました。

子供たちも食べていたので、たぶん美味しいのでしょう。

 

鴨臭の強い鴨は、こういう食べ方もアリだと思いましたので、機会があれば試してみてください。

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