ジビエ

その味は?マズイと言われるヒドリガモを食べてみた

その味は?マズイと言われるヒドリガモを食べてみた

「その種族全体が」というには大きすぎて、「個体差」という言葉で表すにはちょっと無理がある。

 

『カモの味の違い』の話です。

 

 

どーも、トシです。

じつは先日、先輩猟師の遊びに付き合ったところ、ヒドリガモが4羽手に入りました。

 

漫画、山賊ダイアリーにて『まずいな・・』と言われた、あのヒドリガモです。

 

先輩は『いやー、、いらないかなぁ』とか言うし、命を奪っている以上捨てるわけにもいかないので、持って帰って食べてみました。

果たして、その味はどうだったのか?

 

※一部グロ注意な画像があります

 

 

雀を獲りに出かけたら・・予想外の捕獲

 

※冒頭部分はヒドリガモの味に全く関係ありません。興味がなければ飛ばしてください。

 

散弾銃と空気銃って、本当に猟場が被りませんよね。

先輩猟師は僕が知らない猟場ばかりに連れて行ってくれるので、連絡があれば基本的に付き合うようにしています。

 

その日は大雪のあとで、本当は雀を獲りに行ったんです。

 

『中村くん!?30分だけ行こう!田んぼにめっちゃ雀おるから!』

という電話で呼び出されて。

 

 

うん、確かにいました。

雪で真っ白になった田んぼの一部が、真っ黒になるくらい。

 

たぶん、ざっと1,000羽は居たでしょう。

カラスも100羽以上は集まってます。

 

 

でもその猟場、線路がとても近いんです。

猟場の端から線路まで30mくらい。

 

そして、風が強い日だったんです。

 

運が悪いことに、ちょうど前方(風上)から電車が来たんです。

 

 

猟場に向かって大量の粉雪を撒き散らしながら。

 

 

タタンタタン、タタンタタン

タタンタタン、タタンタタン

 

ガタンガタン、ガタンガタン

ガタンガタン、ガタンガタン

 

ゴーーーーーーーー!!

ボファーーーーーーーー!!!(地吹雪)

 

 

 

『さあ、獲るかっ!』と車から出たところで、これ。

見事に全部居なくなってしまいました。

 

 

仕方なく雀を諦めて車で回っていると、『ここいつもは居ないんだけどねー』という所に大量の鴨の群れが。

 

 

別で記事にする予定ですが、大雪の日はカモやキジバトのいる場所が大きく変わるようですね。

 

その日も、『猟期中にほとんど見たことがない』という場所に大量の鴨。

 

しかも10〜20mくらいの距離で、車を見ても逃げない。

 

 

雀用の弾しか持ってなかった先輩ですが、大興奮で5羽落として来ました。

満面の笑顔で『僕いらないからあげる!』と貰ったヒドリガモたち

 

 

今回はギリギリ5羽で良かったんですが、銃猟で一度に6羽以上獲れちゃったらどうしたら良いんでしょうね?

散弾だとありえそうな話ですが。

 

 

とりあえず、『捌くの面倒だから持って帰って』というオーラが凄いので4羽を貰って帰って来ました。

 

ベランダで腸抜きを済ませて、雪がおさまるまで数日放置。

猟期恒例、ベランダに鴨のある暮らし

 

 

さて、、漫画で『まずい』と言われていたヒドリガモですが、果たしてその味はどうなんでしょうか?

かなり怖いけど、奪った命はしっかりいただきます。

 

 

 

まずは捌いてみる

 

※閲覧注意な画像があります

 

年が明けてからは寒波で大雪ばかりの羽咋ですが、ここ数日少しだけ寒さが緩んだのを見計らって解体してみました。

 

首を落としてベランダに数日吊るしたせいか、血はほとんど抜けています。

 

また枝毛も少なく、毛焼きをするとツルツルになりました。

手羽周りは皮が薄くて毛がむしりにくいため、皮ごと剥がしてしまいました

 

ホシハジロはこの時から酷いアンモニア臭がしていましたが、ヒドリガモは普通のジビエ臭のみ。

イメージとしてはコガモより少しワイルドになった臭いですが、決して「くさい」とは思いません。

正直「ホシハジロ以上に不味いのか・・」と、かなり覚悟して解体を始めたので、拍子抜けでした。

直接嗅いでみても、獣臭さはあるものの鴨の臭いです

 

解体してみても、この通り綺麗です。

弾もほとんど残っていない様子。

砂肝の皮だけは他のカモよりも固いですが、それを除けはカルガモやコガモと何も変わりません。

 

ここまで来ると、もう「不味いとか嘘じゃない?」なんて思ってました。

 

 

 

ヒドリガモの味は?塩胡椒で焼いて食べてみた

 

今回は初めての食材なので、塩と胡椒だけでいただきます。

マズイならマズイなりに、その味を知っておきたいですから。

 

 

僕が風呂に入っている間に、妻がちゃちゃっと焼いてくれました。

部位は「ロース(胸肉)」「砂肝」「ハツ」の3つです。

 

うん。やはり臭いは悪くありません。

コガモより、少しワイルドな鴨臭がするだけです。

 

 

果たして、その味は?

 

 

いざ、実食!

 

 

まずは、臭いカモでも安定して美味い「砂肝」から

 

ビビリなので、最初に食べるのは砂肝。

 

個人的な感覚ですが、砂肝はクセがなく、肉以上に食べやすい部位だと思います。

臭くて唯一食べられなかったホシハジロでも、砂肝だけは美味しく食べられましたから。

 

 

そして、それはこのヒドリガモでも当てはまるようで。

 

 

ヒドリガモの砂肝、めっちゃ美味い!!

 

 

正直、今まで食べて来た砂肝の中でも、かなり上位です。

カルガモと同じくらいかな。

 

捌いた時に気になった固い皮も、火を通せば全く気になりません。

 

 

次、香りはあるけど臭くはない「ハツ」

 

ホシハジロの例があるように、砂肝は美味しくても肉がマズイ可能性もあります。

肉に警戒しつつ、次はハツを食べてみます。

 

 

・・うん。

 

ヒドリガモのハツも、そこらのカモより美味しいです。

 

ヒドリガモがマズイって、、どういうこと?

 

 

臭いの元である『脂肪』がついた「ロース(胸肉)」

 

もうここまで来たら、警戒心も薄れています。

しかし、脂が臭みの元かも?という気持ちを抱えつつ、肉を実食。

 

・・・

 

どの鴨であれ、ロースは多少の血の香りや味がするものです。

それは『臭み』というより、『鴨の味』というものでしょう。

 

それを超える不快な何かがあれば、その食材は「マズイ」ということになるのですが、、

 

ヒドリガモ、そういうものが全くありませんでした。

 

 

肉も普通に美味いです。

 

マズイって、どういうこと??

 

確かに臭いは強いけど、その分(?)味も濃い感じ。

鍋も良いけど、焼いて食べると美味しい食材でしょうか。

 

次はステーキにして食べてみたいと思います。

 

 

 

ヒドリガモの味の総評と『まずい』の原因考察

 

ヒドリガモ、結局は半分以上が子供たちによって食べられてしまいました。

 

娘も息子も臭みがあれば絶対に食べませんし、『おいしいおいしい』といくつも食べてるところを見ると、本当に美味しい食材だったんでしょう。

僕も、正直「ジビエ食材では美味しい部類に入る」という感想です。

 

少なくともカルガモよりも鴨らしくて僕は好きですし、コガモよりも食べ応えがあって味も良かったです。

 

個人的にはヒドリガモはコガモの完全上位互換で、また食べたいと思えた獲物ですね。

 

 

ただ、「羽咋周辺で獲れた」という条件がつきますが。

(富山は高岡の猟師さんも美味しかったそうです)

 

 

じつは、漫画で『まずい』と言われていたのも嘘ではないとも思うのです。

 

 

というのも、鴨の「美味い」「マズイ」というのは、

おそらく『種』という大きな話や、『個体差』という小さな話ではなく、地域や群れによる【食性差】に由来していると思うからです。

 

 

僕が昨猟期に獲って、臭くて食べられなかったホシハジロ。

 

他の猟師のブログでは『美味い!』と書かれていたりします。

 

 

でも、僕が獲ったのは不味かった。アンモニア臭が強く、肉も藻のような香りがしてました。

周りの猟師さんから聞いても同じような感想です。

 

 

一方、ヒドリガモ。

ネットでは『まずい』と言われながら、羽咋周辺では悪い感想を聞きません。

 

僕も今回食べて、むしろ美味かった。

 

 

「美味いヒドリガモ」と「不味いヒドリガモ」で何が違うのか?

 

考えられるのは『その地域で何を食べてるか?』だと思うんですよね。

あなたは、どう思いますか?

 

 

とりあえず、羽咋で獲れるヒドリガモは美味しいようなので、これから積極的に狙いたい獲物になりました。

猟期はもう終わってしまいますが、いる場所をチェックしておきましょうか。

Comments / Trackbacks

  • Comments ( 2 )
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  1. こんにちは。
    私も、先日ヒドリガモが獲れたので、鍋にしてみましたが
    美味しく頂きました。カルガモより少しカモ臭が強い気しました。

    ご指摘の通り、カモの味は食べている餌に左右されるようです。
    ベテランの猟師さんによると、海で獲れたカモは淡水物より
    生臭くて不味いそうです。

    • By naka-toshi.ad

      >>カズさん

      そちらも美味しいんですね!
      そう、カルガモなどの一般的な鴨よりもカモ臭が強い感じです。

      僕は、そのかわりに旨味も強い気がしましたが、どうだったでしょうか?

      同種の鴨でも美味い・不味いはありますよね〜。
      静岡の猟師さんに聞きましたが、魚食べてる鴨はカルガモなどでも臭いとか。

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